上司が部下の意見を引き出すために、そのきっかけをつくる。そのきっかけに促されて、部下が意見を言ったことに対して、上司がどういう反応をするか。それによって、部下の発言が増えたり、減ったりする。以下、そのことについて、舞田本では、次のように説明している。引用は、通算で第52回目となる。
【引用はじめ】
行動のきっかけ「意見はありませんか?」
↓
強化 (直前)「認められない」⇒(行動)「意見を言う」⇒(直後)「認められる」
消去 (直前)「注目なし」⇒(行動)「意見を言う」⇒(直後)「注目なし」
弱化 (直前)「馬鹿にされない」⇒(行動)「意見を言う」⇒(直後)「馬鹿にされる」
行動のきっかけとなる刺激は、正しい行動を引き起こしはするが、定着はさせない。つまり正しい行動を身につけさせるには、強化が不可欠である。たとえば、会議で進行役の上司が参加者である部下に対して「誰か意見はないか?」と聞いたときに、それに触発されて意見を述べる部下がいたら、上司はその部下に対し、
- 好意的な目を向ける
- 話を真剣に聞く
- 「なるほど」と感心する
などの強化をしなければならない。しかし、このようにきっかけを与えて行動を促しておきながら、その行動を消去したり強化したりしている上司もいる。無意識でしていたとしても、問題を部下のせいにして上司が不満を募らせているとしたら問題だ。
舞田竜宜著・杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」2012年(日本経済新聞出版社刊) p.63~p.64
【引用おわり】
行動のきっかけだけでは、行動が強化されることはない。「意見を言う」などの行動の直後に強化しなければ行動を増やすことはできない。部下が意見を言ったら、それをしっかり受け止めて認めることが上司などには必要なことである。意見を言った直後の対応が重要である。
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