仕事をゆっくりする部下が、そうなっているのは職場内で、ゆっくり仕事することが強化されているからである。以下、そのことについて、舞田本では、次のように説明している。引用は、通算で第354回目となる。
【引用はじめ】
- ゆっくり仕事をするとどうなるかは、職場によって少しずつ違うが、この職場ではゆっくり仕事をするという行動の結果として、以下のようなことが見られる。
- 上司が「まだかね」と言わんばかりのイライラした目で見る(弱化)
- 上司が他の人には仕事を振り分ける(強化)
- 優しい同僚が手伝ってくれる(強化)
- 上司からイライラした目で見られるというのは、「ゆっくり仕事をする」という行動に対する弱化にあたる。
- 多くの人は、上司からこのような目で見られないように一生懸命に仕事をする。
- ですがいつも目を伏せがちな部下にとって、上司の険のある表情を見ないで済むので、弱化の効果はあまりない。
- そのおかげで、目の伏せがちな部下にとっては、仕事を他に振り分けられるので、仕事の負担が軽くなって強化される。
- 上司にとって、部下の仕事の遅さにイライラさせられたのに、その部下のゆっくり仕事を強化することになる。
- 同僚が手伝ってくれるということは、本人の仕事の負担が軽くなるだけでなく、同僚の優しさに触れて嬉しい気分にもなり、強化の効果がさらに大きいものになる。
舞田竜宜著・杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」2012年(日本経済新聞出版社刊)p.119~p.120
【引用おわり】
ゆっくり仕事をして、仕事の効率が上がらない部下は、上司からも同僚からもそうした仕事のやり方が強化されていると考えるべきである。上司はその部下の分を他の人に振り分けたり、同僚が手伝ってくれるなどがあったからだ。ゆっくりした仕事を続けているのは、そうした行動を強化している随伴性あるからなのだ。
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