日々の支援の中で、「声をかけても反応が薄い」「挑戦しようとしない」場面に出会うことがあります。実はその背景に“学習性無気力”が潜んでいることがあります。まずはその仕組みを知ることから始めましょう。
【引用はじめ】
動物は、嫌子から逃れられない状況に置かれると、次第に活動性を失うとともに、別の場面においても、新しい課題の学習が困難になる。
オーバーマイヤーとセリグマンという心理学者たちは、イヌを使って次のような実験をした。イヌを二つのグループに分け、第一グループには、拘束した状態で強い電気ショックを与え、自力では電気ショックを止める術がないという経験をさせる。第二グループは、足でパネルを押すと電気ショックを終了できる状況に置く。つまり、嫌子消失の強化によって電気ショックから逃れられるという経験をさせる。このような経験をさせた後、両方のグループのイヌに、予告信号が鳴ったら、壁を飛び越せば電気ショックを回避できるという新しい学習をさせる。
その結果、前段階において電気ショックを回避できなかった第一グループの犬たちは、電気ショック逃れる方法を学べなかったのである。オーバーマイヤーとセリグマンはこの現象を、学習性の無気力または学習性の絶望と名づけた。逃れることができない嫌子を与えられ続けると、①新しい学習をしようという動機づけの低下、②新しい課題は対処可能であるという理解の阻害、③慢性的な不安と無気力、という症状が現れる。はじめはイヌで発見された学習性の無気力は、その後、ラットやネコから人間において確認されている。
(舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.98)
【引用おわり】
学習性無気力は、環境と経験によって変化します。私たちの関わり方が変われば、利用者さんの行動も再び動き出します。小さな成功を積み重ね、できる実感を育てる支援を職場全体で大切にしていきたいものです。
0 件のコメント:
コメントを投稿