職場において、新しいアイデアなど述べると、「できない理由」ばかり言われる。そうなると、新しいアイデアなど言わなくなる。ただただ、前例主義にとどまってしまう。発展を求めない沈滞した職場になりがちである。以下、そのことについて、舞田本では、次のように説明している。引用は、通算で第319回目となる。
【引用はじめ】
- 今どきの職場でよく見られる光景として、誰かが何か新しいアイデアを考え出すと、別の誰かが「できない理由」を述べ、アイデアが没になってしまう。
- 一見すると、その「できない理由」はもっともらしく、万人を納得されるに足る力を持っていることも多い。
- だから、できない理由を述べる人の方が往々にして組織では尊敬されることもある。
- だが問題は、この現象を行動分析学的に解釈すると、「できない理由を述べる」という行動が強化されていることにある。
- A(先行条件)新しいアイデアが提案されたときに→B(行動)できない理由を述べると→C(結果)周囲が感心する というABCが成立しているからだ。
- つまり、こういう職場では、新しいアイデアが提案されたときには、よってたかってみんなが「できない理由」を探そうとしてしまうのである。
- それでは、創造的な仕事ができるわけがない。
舞田竜宜著・杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」2012年(日本経済新聞出版社刊)p.91~p.92
【引用おわり】
新しいアイデアに対して、やってもみないうちから「できない理由」ばっかりで終始する。失敗に対する恐れが先に出る。失敗したら新たな取り組みをしようとしない。はじめから、失敗するかもしれないと、やろうともしないのである。こうなると、今まででいいとなる。一番楽なやり方を選択していると言っていい。