工場で事故が多発している。安全に対する諸問題が山積しているためだ。なんとかしたいと思っている。従業員のせいばかりにしていては、なんの解決にもならない。解決を図るための行動はいかにあるべきかを考える必要がある。そうした内容について、「パフォーマンス・マネジメント」による第27回目の引用である。
【引用はじめ】
事故が多発している工場の視察をした。工場に入ると、得体の知れない薬品の臭いがした。モーターの音が大きなうねりになって聞こえてくる。工場長がマスクと手袋を渡してくれた。工場の中は、箱や工具や材料が雑然と置かれていて、そうしたいろいろな物の隙間を縫うようにして進んで行った。工場長によれば、大きな事故は機械の操作ミス、特に操作の手順を間違えた時に起こりやすく、中程度の事故は機械の保守点検などが不十分だったり、工具や材料が整理整頓されていなかったり、安全のための配慮が欠けているせいで起こっているらしい。
事故の原因は、安全のための行動が十分に行われていないことにある。いくら主任連中が口を酸っぱくして注意しても従業員が言うことを聞かない。主任たちは真面目で、熱心に指導している。口は汚いけど、その情熱が従業員に伝わらない。主任が悪い、従業員が悪いと決めつけても問題は解決しない。
それよりも、誰が悪いか決めつけるんじゃなくて、何ができるかを考えてみることである。
(島宗理著 「パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学」1999年 開成出版刊、p.17~p.18)
【引用おわり】
安全確保に努めるのは、工場長か、主任たちか、従業員たちかといってもはじまらない。誰のせいだとする「個人攻撃の罠」では、なんの問題解決にもつながらない。まずは、安全確保につながる環境の整備を行い、担当者が行うべき安全行動を確実に実施できるようにすることである。
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