2025年1月10日金曜日

問題解決(40) 「派生の原理」

 嫌子によるマネジメントは、あまりお薦めできない。叱られたという事実によって、その人を避けるようになるなどが起こるからだ。叱られた場所や時間なども、嫌子となる可能性もあったりする。要注意である。そうした内容について、「パフォーマンス・マネジメント」による第40回目の引用である。

【引用はじめ】

 「叱られることは嫌子なんだから、とにかく何らかの行動は弱化されていないとおかしいじゃないか!!」という主張もある。そこで、どんな行動が弱化されているか。それは、"叱られる直前にしていた行動すべて"である。今日の昼飯をどこで食べるか考えていたら、それが弱化される。機械の操作を間違えた瞬間だったら、それが弱化される。でも、こんなにタイミングよく叱るのは実は難しい。逆に、たとえば叱られる寸前に頭が痒くて掻いていたら、それが弱化されるかもしれない。最悪、その時に従事していた作業をする行動が弱化されてしまうかもしれない。

 叱ったり、怒鳴ったり、脅したりする、嫌子を使ったマネジメントには、さらに重大な欠点がある。それは、嫌子を使う人、その場所、時間などが、派生の原理によって嫌子化してしまうこと。そして、嫌子を避ける行動が強化されるようになることだ。

(島宗理著 「パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学」1999年 開成出版刊、p.21~p.22)

【引用おわり】

 「派生の原理」は、行動の直後の好子や嫌子が随伴することによって、そこにあった人・物・状況に影響するのである。要するに、人・物・状況も好子になったり、嫌子になったりする。「派生の原理」に十分留意して、行動の制御にあたる必要がある。 

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