「ケーキを食べる」と、その人は「美味しい」と感じるのだが、「体重増加」が気になる。「だめだなぁ」と "自責の念" に駆られたりする。なぜ、そうした結果が生ずるのだろう。そうした内容について、「パフォーマンス・マネジメント」による第55回目の引用である。
【引用はじめ】
ケーキや甘いお菓子を食べてしまう時には、もちろん、強力な強化の原理が働いている。一般に、行動(B)と結果(C)の間の時間差が短いほど、強化の原理は強く働く。ケーキ一口、口に入れると、瞬時に甘さが広がる。抜群の好子だ。そして強化の原理が働く。
ところが、一口のケーキでは体重の増加には影響しない。二口でもたいして変わらない。でも、一、二週間ケーキを食べ続けると、体重計に乗るのが怖くなってくる。確かに嫌子だ。でも、この結果には時間差があり過ぎる。だから弱化の原理が働かない。
ケーキを食べながら "自責の念" に駆られている人の行動を分析してみよう。一口食べるごとに「だめだなぁ」とため息をついているかもしれない。これでもし食べるのを止めることができたら、「だめだなぁ」は嫌子として働いていることになる。たいていは食べ続けてしまう。つまり、「だめだなぁ」はケーキを食べる行動を弱化するのに十分な嫌子ではないことになる。繰り返すが、これは "意志" が弱いせいではない。あくまで十分な嫌子でなく、反対に、強力な強化の行動随伴性があるせいだ。
(島宗理著 「パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学」 1999年 開成出版刊、p.28)
【引用おわり】
「ケーキを食べる」行動でも、その結果にはいろんなものが生ずる。どんな行動随伴性があるか、ABC分析によって明らかになる。どんな好子があるか、あるいは嫌子があるかが分かる。それによって、ケーキを食べる行動は強化されるのか、消去されるのか、弱化されるのかが明確になる。
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