管理職が新製品に対して、悲観的な発言をする。その理由はなぜだろう。以下、そのことについて、舞田本では、次のように説明している。引用は、通算で第169回目となる。
【引用はじめ】
新製品を発売する際に、「これは、あまりお客様には受けないのではないか」と言ったとしましょう。果たしてほんとうにお客様に受けるか受けないかは、現時点では誰にも確実なことは分かりません。
ですが、もし発売後、実際にお客様に受けなかったとしたら、彼は「やはり予想通りだった」と自分を正当化することができます。お客様に受けないということは良くないことですが、たとえそうだったときでも、自分は正しかったと主張できる一種の保険をかけられるわけです。
そして、予測が外れてお客様の受けが良かったときには、期待以上に業績が上がったという点をクローズアップすればよいわけです。
どっちに転んでも損はない。悲観的な発言には、こうした安心感が伴うわけです。
逆に、楽観的発言をしていたら、どうなるでしょう。「きっとこれ、お客様に受けますよ」などと言っておきながら実際には受けなかったとしたら、予測違いを責められるのではないでしょうか。つまり楽観的発言には、この後に起こることへの不安感が伴うわけです。だから悲観的発言をすれば、こうした不安感から逃れることができるのです。
舞田竜宜著・杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」2012年(日本経済新聞出版社刊)p.173~p.174
【引用おわり】
新製品が売れるか売れないかなんて、簡単には予測できない。そうなると、管理職はどうなるか分からない新製品の売上について、悲観的に予測しがちである。そのほうが責任を逃れやすいからである。結果的に売れなければ悲観的な予測が当たったことになる。売れたとしても、予想以上なったと言っておけばいい。
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