あの部下は「自主性」が足りない、「創造性」に問題があるなどと心理学の罠にはまり、個人攻撃の罠に陥ることがある。それでは、問題を複雑にするばかりだ。その解決を図る上で役立つのがビデオクリップ法である。まず、その4段階あるうちの第3段階においては、どんな性格や能力が問題になっているか実在の人物の行動を思い浮かべるのだ。その内容について、島宗リーダー本による第61回目の引用である。
【引用はじめ】
心理学の罠から抜け出すには、「○○性」や「○○力」と評価されている元の行動を探します。このとき有効なのがビデオクリップ法による課題分析です。これは、行動とその前後の出来事について、具体的にイメージし、記述していく方法です。手順は以下のようになります。
- 性格や能力を示す言葉から始める
- 実在する人物を選ぶ
- 行動を思い浮かべる
- 評価を分ける鍵となる行動を見つけ、書き出す
第3段階の「行動を思い浮かべる」とは、次のようなことだ。
あなたが「○○性」があると思ったとき、そして「○○性」がないと思ったときに部下がしていた行動を思い浮かべます。YouTubeのビデオクリップを見ているかのように、できるだけ鮮明に、できるだけ克明に思い浮かべて下さい。ここでも外せないのは、実際に起こった事実を思い浮かべることです。「こうして欲しいなあ」という願望を思い浮かべるのは避けましょう。思い浮かべるのが難しいときには、その人の行動を実際に観察してみましょう。
(島宗理著 「部下を育てる!強いチームをつくる! リーダーのための行動分析学入門」2015年 日本実業出版社刊、p.40~p.41 )
【引用おわり】
部下の自主性が不足していると言ってみても、それが容易に変わるはずもない。ビデオクリップ法によって、具体的行動を思い浮かべるのである。部下の一人は指示されなくても仕事の効率を上げる工夫をする。しかし、それとは反対に、その部下はノルマどおりの仕事をするだけだ。こんな風にいかなる行動をしているか映像化するのである。
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